東洋医学の虫をおもふ

東洋医学の虫をおもふ

2014年05月13日(火)8:29 AM
 爽やかな日が続いていますね。少し前まで寒かったのが嘘のように、服もぐっと身軽になりました。クレマチスの丘の庭園も、緑や花がとても綺麗でした。
 クレマチスの丘ができて初めて、長泉町が日本一(全国60%のシェア)クレマチス(テッセン)の苗木を出荷していることを知りました。美術館もショップも食事も、全てが五感を満足させる魅力に満ちていて大好きな場所です。場のもつ雰囲気と同調するのか、穏やかな気持ちになります。
 
 ところで穏やかならぬ気分の時、「虫の居所が悪い」ということがあります。「腹の虫がおさまらない」「ふさぎの虫」「虫酸(むしず)が走る」「疳(かん)の虫」「虫が好かない」「虫がいい」「虫の知らせ」「悪い虫がつく」「泣き虫」「弱虫」「本の虫」など、虫のつく言葉は意外と多いです。昔の人は、便の中から寄生虫がでてくるのを見て、虫が病の原因だと信じていました。気分や病など、分かりにくいものを虫に例えるのはとても良い案だと思います。
biscuit 永禄十一戊辰年(1568年)織田信長が活躍した時代の医学書「鍼聞書(はりききがき)」には、63匹の虫「ハラノムシ」による病状や治療法が書かれています。ちょっと怖いけど可愛い虫達で、現代でもウイルスとか細胞とかホルモンの代わりに使えば、表現も柔らかく分かりやすくなりそうです。
 「イライラの虫が騒いでる」とか「ふさぎ虫が暴れだした」というと、感情に縛られた自分から、感情を客観的に見る自分に変われます。更に「自分の代わりにイライラ虫が怒ってる」と思えると、不愉快な感情さえ親友に代わります。ずっと続いた腹痛や倦怠感も「漬物石の虫」と思えば、腸が石でひっぱられるような痛みも、石を背負うような体の重さも納得です(笑)
 その昔ほどではありませんが、今でも病気の原因がはっきり分からない病はたくさんあります。病院に行っても手術や薬など、原因を治せる治療法は多くありません。現代でも、虫の力で楽になる方は多いのだと思います。試しにに例えて名前をつけてみませんか?
 
 東洋医学は人間観察の医学です。悪いところに注目するだけではなく、関係を調整することも大切にしています。例えば、足にできたタコは薬などで治す方法もありますが、その原因を治すという方法もあります。本来、皮膚は傷ができても治る仕組みがあるのにタコが消えないのは、例えば足の血流が悪いとか、更にその原因は胃腸が悪くて手足に血流がいきにくいとか、更にその原因は噛み合わせが悪くて消化に時間がかかるとか、更にその原因は睡眠時の噛みしめで筋肉がこっているとか、更にその原因は仕事へのプレッシャーとか。風が吹くとおけ屋が儲かるみたいですが、人間は複雑なので虫メガネで局所だけを見ていては分からないことも多いのです。はりきゅう(鍼灸)で、口周辺の筋肉をほぐすこともできますし、体を全体的に元気にできるので、結果的にプレッシャーに対する余裕もできます。
 人間観察を重ね、複雑なことを単純化し、治療法を積み重ねてきた東洋医学何千年分の知恵は一朝一夕に身につきません。でも、日々実践し考え続けることでより深層に近付きたいと思っているからか、クレマチスの丘でおたまじゃくしを見ながら「ハラノムシみたいだ!」なんて思っていました(笑)
 今、自分が持っているmaxまで体調を整えたい方は、お近くの治療院で自分にあった治療を受け、自分にあった養生を覚えてほしいと思います。

 

 

この記事を書いた人

Koji Wakio(おきらく)
おきらく極楽にて鍼灸治療中。申年。
武術の稽古と豚カツが大好きです。
Satomi Nakano(極楽)
おきらく極楽にて鍼灸治療中。巳年。
神社と美味しいものが大好きです。


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