デルマドローム~皮膚のシグナル~

デルマドローム~皮膚のシグナル~

2013年12月17日(火)9:10 AM

 最近、川島眞著 PHP新書刊「皮膚に聴く からだとこころ」を読みました。
 著者は皮膚科医で、まえがきに45歳を過ぎた頃から、20歳台、30歳台の頃に比べて、「ベストな治療ができた」実感があって「楽しく」なったと述べています。
 皮膚が出しているシグナル(デルマドローム:)を確実に受け止められるようになったからとの事です。

 

母ミョンイの死 東洋医学では病態を把握する方法として「難経(なんぎょう)」という書物に「四診(ししん)」という四つの診断方法が語られています。それぞれ「望聞問切(ぼう・ぶん・もん・せつ)」といいます。思い切りはしょって説明すると、目で見て診察するのが望診(ぼうしん)、耳で聞いたり鼻で嗅いだり味を感じたりして診察するのが聞診(ぶんしん)、患者に病歴など質問するのを問診(もんしん)、患者の身体に触れて診察するのが切診(せっしん)と言います。患者を診ただけで病態が分かればまさに神技(シンギ=神業)というわけです。
 韓流ドラマの「ホジュン 宮廷医官への道」「宮廷女官チャングムの誓い」あるいは「馬医」を見たことがある人なら、切診には馴染みがあると思います。患者の手首で脈を取って、「ハッ」と息を呑むシーンが何度も出てきますが、これは脈診(脈診)といって切診の中の重要な技法の一つです。

 

 ところで、まだ会社勤めをしていた頃に久坂部羊著「無痛」という本を読みました。シャーロック・ホームズ顔負けの医師が主人公の小説です。当時は四診なんて全く知りませんでしたし、外見だけで病気が分かるなんて凄い、と思いました。何しろのっけから、交番の警官を見て、膀胱尿管逆流症だなんて観察が始まるんですから、素人としてはビックリでした。そして東洋医学を学んで、「無痛」の主人公は神技を使っていたんだと納得。

 

 話を「皮膚に聴く からだとこころ」に戻して、少し引用してみます。第一章「皮膚はなにを語るのか」では、
 P20 「肝臓と皮膚」
 肝機能が低下するとエストロゲンが分解されにくくなることで、エストロゲンの血流促進作用が高くなり血管拡張が起きる。すると「手掌紅斑」、「クモ状血管腫」、「紙幣状皮膚」などの症状が現れる。
 P21 「腎臓と皮膚」
 腎機能が低下すると老廃物や毒素の排泄がされにくくなることで、それらが徐々に蓄積し、乾燥性皮膚(乾皮症)、色素沈着、痒疹(ようしん)などの症状を併発する。 などなど。
  なんと言っても皮膚は身体中の最大の臓器で、しかも外部に露出されている訳ですから、皮膚に現れているサインを見逃さなければ、様々な疾患の徴候を押さえることが出来るのでしょう。
 もちろん、上記のような内臓の問題ではなく皮膚そのものの症状も多いと思います。逆に内臓の問題で皮膚に異常が出るような場合は、病気がかなり進んでいるとも言えます。

 皮膚の異常を「ほっとけば治る」などと軽く考えずに、症状が長く続くような場合は検査を受けることをお薦めします。
 検査では異常が見つからないのに症状が治まらないときや、症状を押さえるだけの治療しかできないときも、東洋医学では別の見方をするのでお気楽にご相談ください。

 

*注:デルマドロームとは内臓の病気に関連して起こる皮膚の病変のこと

 



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