膝が痛む病気は変形性膝関節症、半月板損傷、膝靭帯損傷など沢山あります。特に中高年の膝の痛みの原因の多くは変形性膝関節症によるものです。これは膝の軟骨が徐々にすり減り、炎症を起こしたり変形したりする病気です。厚生労働省は変形性膝関節症の患者数を、自覚有りの患者が約1000万人、X線診断による潜在的な患者が約3000万人と推定しているそうです。何と、自覚していない人を含めると3人に1人が変形性膝関節症という計算になります。結構多いですね。

 

　ヒトは痛みに対しては3種類の行動を取るそうです。回避行動、抑制行動、疼痛行動です。
　回避行動は痛みを避けるために体を動かさないようにするものですが、痛みが出なくなってからも同じ行動を繰り返す事が痛みを長引かせる原因になるらしい事が分かってきたようです。
　体をずっと動かさないでいると、体に様々な困った変化が起きてきます。
　体を動かさないようになると、筋タンパク質の合成が低下し、分解が亢進する事で、筋肉が萎縮し、筋力が低下します。寝たきりで3週間過ごすと筋力は約半分に衰えると言われています。
　また、骨も骨吸収が亢進し萎縮して行きます。関節も周囲の皮膚、筋肉、靭帯等が変性し、関節稼働域が狭くなってきます。その他にも心機能低下、起立性低血圧、血栓塞栓症等々の様々な症状が出てきます。このような体の負の変化を廃用症候群と言います。
　回避行動に対して、抑制行動というのは痛みが少なくなる動き方を探す行動で、疼痛行動は痛みがあっても堪らえて動き続ける行動です。この2つの行動を取る人は痛みがなくなると直ぐに元通りの行動をするのに対して、回避行動を取る人は痛みが消えても運動を躊躇する慎重派の人といえるかもしれません。
　廃用症候群への進行は動かなくなってから10日程度で起こるとされており、何とかしたいものです。

 

　膝軟骨についてはスポーツや事故で欠損した場合に、保険適用で再生医療を受ける事が出来ます。変形性膝関節症についても再生医療は可能ですが、保険適用外なので自費診療になるようです。
　手術で人工関節を入れるとしても、結構な費用になります。高額療養費制度もありますが、出来ることなら膝関節をいつまでも元気に使って行きたいです。
　変形性膝関節症はゆっくりと進んで行く病気なので、対応が遅れがちになります。歳だからと諦めたり、鎮痛剤を飲んでだましだまし使っている内に、徐々に進行し、気が付いたら日常生活が困難になったり、運動能力が下がって転倒骨折という事にもなりかねません。
　膝の痛みがあると、安静にしてしまいがちです。しかし、ずっと動かさないでいると、膝周囲の筋肉が衰え、膝関節のクッションである軟骨の負荷が高くなり、ますますすり減りやすくなります。また、運動不足で体重が増えると、それも膝への負担が大きくなってしまいます。
　無理のない範囲で適度な運動をして行きたいと思います。
　厚生労働省が変形性膝関節症の人を対象にした運動プログラムを紹介しています。負荷の軽い運動なので、痛みがある方や慎重派の方にお勧めです。
　痛みがあっても歩ける方はウォーキング、歩くのに慣れて痛みが減ってきたら速足ウォーキングもとても良い運動です。
　厚生労働省の運動プログラムの2ページ目でも紹介されていますが、おきらくのお勧めはやはりスクワットです。家の中で出来る事から、気象に関係なく出来るのと、短時間でも効果があるので、とても良いと思います。

 

　歩きたいけど膝が痛くて・・・という方。色々とお手伝いさせて頂ける事もあると思いますので、是非お近くのはりきゅう(鍼灸)院におきらくにお問い合わせ下さい。体質にあった治療によって、健康な体になるお手伝いをさせて頂きます。
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